旧倉又茶舗の隣は森歯科医院で、少し奥まっているから、その前がちょうどよい遊び場だった。集まってよく下駄隠しをしたものだ。そのときの鬼決め歌をまだ歌える。

下駄隠(かーく)し/
こうねんぼ/
橋の下の白ねずみ/
草履をくわえて/
ちゅっちゅくちゅ/
ちゅっちゅく饅頭/
誰(だれ)が食た/
誰(だあれ)も食わな い/わしが食た

 下駄隠しと言うけれどズック靴の子も多かった。その片方を並べてこの歌を歌いながら指さしていく。「わしが食た」で当たった靴の持ち主が鬼。その子が決められた場所(秋山デパート入口)まで行って百数えて帰って来る間に、靴を隠す。最初に見つかった靴の持ち主が次の鬼となる。
 では見つからなかったらどうするか──「うーえだ、うえだ」とか「しーただ、しただ」とみんなで歌う。ヒントを与える親切心と、見つけられない鬼を馬鹿にする気持ちをないまぜにして囃し立てる。
 すると通りかかった大人に「おまんた、元気いいね」と皮肉をいわれたり、「うるさい」と一喝されたりしたものだ。
 雁木の下で遊ぶとは、そんなオープンな環境で遊ぶということだった。

Follow me!