親戚に蔵の戸を閉めろと叱られたあとで、また別の人から、「昔は年に一度か二度は、出入りの若い衆を呼んで、蔵の戸を閉めてみたもんだ」という話を聞いた。
 たしかに、閉まるかどうか、確かめておかなければ非常時に困る。
 いざという時などない方がいいが、その時に備えて、火の用心を戒めあったのだろう。
 今回の火事で実際に蔵の戸を閉めて逃げたので、中の物は無事だったという話も聞いた。
 ところで、私の記憶の限りでは、我が家の二つの蔵の戸はいつも開けっ放しになっている。引き戸以外は閉めたことがない。
 また、蔵には小さいながら、窓もある。前蔵は二階に一つ、奥蔵は二階と一階にそれぞれ一つずつ。どれも土扉がついている。
 この窓の扉もどう閉めたものなのか。高いところにあるので脚立が必要だろう。
 そのうち、ボランティアを募り、蔵の戸を閉める防火イベントをしてみようと思っている。
 もっとも、土扉の端が崩れかけていて、動かすことができるのかどうか心許ないし、積もりに積もったほこりも掃除しなくてはならないのだが……

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